僕の初恋(仮)
〜訪れ〜
あの子からの本
チャイムが鳴る。
と同時に俺は帰り支度を始める。
掃除の後のHRを読書に費やす為だ。
担任は数学の宿題箇所を、チャイムの音に負けじと大声で叫んでいる。
掃除をしながら窓を見やれば、中庭に積もった雪で遊ぶ奴と、注意するおせっかいな女子。
あー、寒いなっ。
開け放たれた教室内は外の空気と同化する。
2学期の期末テストも終わって後は冬休みを待つばかり。
あともう少し、
あともう少しで冬休みだ!
掃除中、真面目を装って、実は頭の中は冬休みの計画でいっぱいだった。
あの本も読みたいし、
あのシリーズも新刊が出ていたから気になる、
あの作家が新しく出した本も面白そうだ、
俺は幸せな気分に浸った。
HRが始まり、引き出しから本を取り出す。
担任の話は聞いていない。
ガタガタと皆が立ち上がるのに合わせて終礼を済ませた。