僕の初恋(仮)
「ほら、佐藤君を見習ってー・・・て、進んでないし!」


「二人の会話が面白くて」

「全く・・・」


先生は力無くうなだれた。


結城と二人でニヤニヤして見ていたが、それ以降ずっと無言のままの先生に、徐々に気持ちは落ち着き、それでもじっと俯いたままの先生の姿に息を飲んだ。


もしかして、泣いてる?

焦りが湧いてくる。


初めてなのに調子乗りすぎたかっ、


俺と結城は顔を見合わせたり先生の様子を窺ったり必死だ。



「・・・先生?」




ようやく顔を上げた先生の表情は、意外にも穏やかだった。




「二人とも、落ち着いた?」

そう言って優しく微笑んだ。

大人の笑顔で・・・




泣いていない、怒ってもいない。


先生はただの「無言」で、俺達の暴走を鎮圧した。
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