僕の初恋(仮)
「先生、今年最後の記念に!」



ファイルに色々とメモを記す先生に、結城は元の冗談めいたの調子で尋ねた。



「ズバリ、何歳!?」



授業中の様子から、きっと言いたくないんだろうなと思っていが、先生は意外にも笑顔で、


「21歳」


と、あっさり答えた。



「21歳!?・・・・・7歳差?何だ先生、やっぱり大学生じゃん」


「先生、大学には行ってないの。高卒で就職したの」


今の時代、大学に進学する人がほとんどで。


兄貴の大学進学の話が出た時も、昔は滅多に大学なんて行けなかったと親から聞いた。


付け加えて、今じゃ誰でも大学に入れてしまって、それほど成績が良くなくても大学に進めてしまうとも。





先生はこんなに教えるのが上手くて勉強が出来るのに、なんで大学に行かなかったんだろう。


結城の隣で先生を見つめながら思った。



「結城君は昨日休んだ分の振替授業があるから」


「げっ、そうだった」


「佐藤先生だって。はい、これファイル。佐藤先生に渡してね」


「お、佐藤か!なら楽勝だな」



先生からファイルを受け取った結城は、俺と先生に「じゃあな」と手を挙げた。



「また来年ね」



先生も俺も、手を挙げて応える。




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