僕の初恋(仮)

今までの終わり

「さて、先生も帰ろうかな」

トントン、とプリントをまとめてカバンにしまう先生に、俺はさり気なく尋ねた。


「先生ってどこから来てるの?」


「実家がね、ここから30分位の所にあるの。仕事は東京なんだけど、お盆休みと年末年始は毎年こっちに帰ってくるんだ。」


「え、じゃあ東京に住んでるの?」


「うん、東京で一人暮らし。佐藤君は?」



「俺、篠木駅の隣。だから、すぐ近く」



「そうなんだ。近いと便利だよね、沢山勉強しに来れるし」


先生はにんまりと微笑む。


「近いからってそんなに勉強しに来ないし」


首を横に振ると、やっぱり?と先生は笑った。




たった二日だけど。


初対面の人とは中々馴染めない俺だけど。


先生の雰囲気は近づきやすく、話しやすい。


それはきっと、初めて同士の見えない壁を最初から崩して接してくれるからだと思う。



ほら、こうやって出口に向かうのも、今までずっとそうしてきたみたいに自然に言葉を紡ぐんだ。


「よし、お腹も空いたし早く帰ろう」
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