僕の初恋(仮)
空いた電車。


誰もいない座席の真ん中にどかりと座り込む。





俺は先生の後ろ姿を思い出す。


いつかのテレビドラマのワンシーンが重なって・・・

降る雪が冷たく頬に触れて。

ポケットに手を突っ込んで、向かいの電車を見つめる俺に


振り返る先生。


先生は笑顔で手を振ってー・・・



・・・。


・・・なんだ、俺。
おかしいな。


今まで恋愛なんて考えた事なかったのに、先生と恋人だったらみたいな想像して。



自分の妄想に恥ずかしくなり、正気に戻すかのように頭を振る。






窓の外にはチラチラと雪。





『雪夜』




なんだか洒落た名前だが、相変わらず読み方が分からない。


『ゆきや』なんて名前じゃ男か女か分からないし。


ゆきよ、
ゆきよる、
せつや、
せつよる、





あー、分かんねえ。


帰ったら辞書引こう。







辺りはすっかり暗かった。
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