僕の初恋(仮)
俺だって、女子に告白された事が有るくらいだから悪くはないと、内心思っている。



女子の視線と囁き声は、道が別々になるまで気になっていたが、そんな素振りは出来るだけ見せない。



見えなくなってようやく、男同士の話を始めた。


「あれ、カズマのクラスの女子だろ?カズマ、モテモテだなぁ」

ヒロがニヤニヤしながらわざと嫌みったらしく言った。


「ああ?・・・あー、アイツならお前の事が好きだって話だよ」

「ええっ!?・・・マジ、嘘ォ!?」


「嘘」


「は?」


カズマは肩を震わせて笑い、俺もヒロの表情が可笑しくて声を挙げて笑った。


「あー、もう何だよッ」


ヒロはちょっと怒ったらしく、不機嫌そうに鼻を鳴らした。




こうやって女子の話はするけれど、好きな子は誰にもいない。


いや、2人は俺に話さないだけで、もしかしたらいるかも知れない。


でも俺は今、好きな子はいない。


本を読んだり部活をしたりする事で頭がいっぱいだから。


かわいい女の子と話したり、女子にカッコ良いとこ見せようって思っても、誰かと付き合いたいと思うことはなかった。
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