僕の初恋(仮)
「雪」という一文字で「ゆ」と発音をするのなら・・・

俺は先生の名前を思い出していた。

「雪夜」は、「ゆや」か「ゆよる」か。

「ゆよる」は無さそうなので、「ゆや」か、と結論付けた。

なかなか、あり得そうな名前だ。


ゆや・・・


音を聞けば、なかなか可愛い名前かもしれない。


俺は散々いやな顔をして見ていた演歌を、じっと温かな眼差しで見つめた。






時は刻々と過ぎ、気づけば真夜中の0時。

耳を澄ませば、何処からともなく除夜の鐘の音が響き渡る。


今年が終わった、そして

また新しい今年がやってきた―


俺は何故だか、今年は新しいことが山積みにあるような気がした。

今すぐ浮かぶのは、受験。そして部活の引退。

中学三年に上がってすぐ、大会。

夏には嫌でも引退し、受験モードに突入。

一年が終わったばかりの今なら、それらはあっという間に訪れてしまう事を理解できる。

やだなぁ、部活をあっという間に引退して、受験まっしぐらなんて・・・


普段から、早く大人になりたいと思っていながら、実際部活の引退や受験を考えるとまだその時期は来ないで欲しい、という矛盾した想いがあるんだな、俺って。


大人になりたいような、なりたくないような。

そもそも大人って、何だ?

大人に近づくにつれ、大人が何なのか分からなくなっていく気がして

それは大人から遠ざかっているような気がした。
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