Dear...
曽根崎心中
学校の中で一番空に近い場所。そこに座って、孝司と俺は弁当を食べることにした。
「こないだ言ってた心中物って、何なんだあれ」
何気なく聞くと、孝司は「あぁ、」と答えた。
「近松門左衛門の人形浄瑠璃だよ、曾根崎心中」
頬張った鮭御飯。何年も前から孝司は自分の弁当は自分で作っている。今日は簡単にシャケ弁だが、手が込んでいるときは女子顔負けの弁当を作って来る。
「好きだから、だけど結ばれないから、相手が大切で大切で仕方ないから、一緒に死ぬ」
頭の上に広がる蒼穹に、孝司は手を伸ばした。届くはずもない青い空。太陽が、掌を透かして見えたのか、孝司が目を細める。
「こないだ言ってた心中物って、何なんだあれ」
何気なく聞くと、孝司は「あぁ、」と答えた。
「近松門左衛門の人形浄瑠璃だよ、曾根崎心中」
頬張った鮭御飯。何年も前から孝司は自分の弁当は自分で作っている。今日は簡単にシャケ弁だが、手が込んでいるときは女子顔負けの弁当を作って来る。
「好きだから、だけど結ばれないから、相手が大切で大切で仕方ないから、一緒に死ぬ」
頭の上に広がる蒼穹に、孝司は手を伸ばした。届くはずもない青い空。太陽が、掌を透かして見えたのか、孝司が目を細める。