Dear...
「悠希」

「なに?」
わざと明るく発した言葉は、張りぼてに過ぎないというのに。孝司には、すぐに看破されてしまうと言うのに。

無言で孝司は、CDを俺に差し出す。

「何だよこれ」
「デモ、今日録ったんだ。聴け」

押し付けられるように受け取る。鞄に仕舞うと、またペダルを漕いだ。
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