Dear...
「悠希」
夕焼けが、眩しかった。
孝司の笑顔が綺麗で、夕焼けなんて見えなかった。
「一緒に死のうか?」


言葉の意味を諮りかねた。
「言ったろ、人それぞれだ、って。…ぶっちゃけさ、俺、人間が嫌いだよ。汚いもん。弱いもん。嫌なことがあったら母さんみたいにおかしくなる。その割に器だって脆いから、交通事故に遭えばカナちゃんみたいに簡単に死ぬ。かと言って、どう生きてるかっていうとさ、媚びへつらって友達面して、反吐が出る。だから友達なんて要らなかった。ああいう噂立てられると、余計にそう思った。ついさっきまで親しく話していたのに、掌を返すように気味悪い眼差しで見つめて来る。嫌だった。…けどさ」
赤信号が二台の自転車を止めた。右折車のトラックが、目の前を通り過ぎる。
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