届かなくて
「どうしたんだよ?元気ないじゃん?何かあったか」葵の言葉が張り詰めていた私の気持ちを緩めてくれた 「私、昨日伊織に告白したの」
誰にも言わなかったこの想いを葵だけは知っていた。葵も同じ立場だから。 
「すげぇじゃん」と言って葵は私の頭の上に手をのせて撫でた。 
「告白した勇気がすごいよがんばったな」
撫でられている頭が何だか気持ち良くて、言われた言葉は心をとても温かくしてくれた。 
学校の方に向けて、二人で歩いて行く。 
分かち合える仲間が居て良かったと改めて実感した日だった。

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