届かなくて
とうとう教室の前まで来てしまった。この扉の先に現実が待っている…怖い。 葵が私の背中をポンポンと叩く。 
「大丈夫だよ。俺も付いてるからさ」笑顔でそう言ってくれた。
私は深呼吸して、一呼吸おいてからドアを開けた。 「おはよう」 
そう言ってきたのは、私の親友であり、伊織の彼女でもある高岡咲だった。
咲を見た途端、罪悪感が体を襲う。「おはよう」と葵が私より先に元気に返事を返す。私も精一杯の笑顔と声で返した。 
一瞬安心感が得られたその時、後ろから気配を感じた私はすぐに誰だか分かった後ろを振り返ると、伊織が私の後ろに立っていた。
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