碧色の君へ
言ったでしょう。
碧の目を見ると、私はメチャクチャに泣きたくなる。
「…なんで?」
「第一に、あのドレスを着たくない」
「…」
おどけた口調で言った。
それも半分くらい事実だった。
回避方法はそりゃ、いくらでもある。
だけど今、そんなものは問題じゃない。
黙り込んだ碧に、私は「第二に」と続けた。
「これが一番大きいかな」
「…」
「気が向かない」
私はそう言い放つと、さっと碧の背中から離れた。
少しバランスを崩し掛けたけど、なんとか保った碧は「…まだ振り向かないで欲しい?」と聞いた。
「うん」
私は波打ち際で足を少しだけ海に付けた。
なまあったかい、温度だった。