碧色の君へ
2―painful
いつからだろうか。
気が付いた時には君は、もうずっと特別だった。
他の何にも替えられない存在だった。
「夏海じゃん」
「碧、宿題手伝って!」
「…自分でやれよ」
1つ年上の男の子を、「碧」と呼び捨てにする。
ふわふわと、空気のようにまとわりつく。
そんな私は、彼を好きな女の子達にとってはだいぶ目障りだったのかもしれない。
「アンタ、調子に乗ってつきまとわないでよ」
碧と同学年の女の子達にシメられたこともあった。
それでも碧は助けてくれた。
いつだって、助けてくれた。
そしていつも、柔らかく笑うんだ。
「怖い思いさせてごめんな」って。