碧色の君へ
祐樹は驚いたように、「なっちゃん!」と声を上げた。
…そりゃそうかもしれない。
「な…投げた?」
「うん。…だってここなら、私も碧も迷わないから」
首を傾げる祐樹に、「ううん。こっちの話」と手を振った。
堤防から危なくない程度に少しだけ身を乗り出すと、輝く海の中に見えた。
遠くから見たら何か分からないぐらい。
だけど確かに見える。
願いを乗せたクローバーは
小さなカードに乗っかっていて、
それは更に
白い波に乗っかっている。
浮き沈みを繰り返して。
いつかどこかに辿り着いて。
それは出来たらあの場所がいい。
生温かくて
近すぎず遠すぎず
ふんわりしていて
居心地のいい場所。