碧色の君へ
1―calling
それは本当に、突然のことだった。
暑い暑い夏の日…バイト先で、買ったばかりのケータイが振動した。
「ナツ、鳴ってるよ。ケータイ」
「うん」
真新しいツルツルのカバーが、赤色の小さな光を放っている。
この色は、着信。
ちょうど休憩時間だったこともあり、私はなんの躊躇いもなく電話を取った。
「…もしもし?お母さん?」
どうせバイト帰りに醤油を買ってこいだとか、そういったしょうもない用事だと思った。
そうだったら、良かったのに。