碧色の君へ
――――――
――――
『夏海!』
『…何?』
『今度さ、お誕生日会やるんだって』
『お誕生日会?わたしの?』
『うん。俺が夏海のお祝い書いてあげる!』
嬉しそうに、肩を弾ませて言った。
だから私もつられて嬉しくなって、ジャングルジムの上から手を振る。
『ありがと!』
『書く紙の色が選べるんだけどさ』
『うん』
『何色がいい?』
交じり合うことはあっても、ついに溶け合うことはなかった二つの恋心。
それでも私の中には、まだ君の色が残っていて
きっと君の中には私の色があることを、今は少しだけ願ってしまう。
小さな想いはキラキラと輝きながら
色褪せることもなく、静かに流れて行く。
『あお!碧色がいい!』
夏の海に
それは
―――碧く
碧く。
【end】