碧色の君へ
4―kiss
思い出した。
よく、こんなことがあった。
私が泣きそうになった時に、碧はいつも飛んで来てくれる。
だから私は
寂しさで泣いたことがない。
「久しぶり。…出掛けてたんじゃなかったの?」
ぱっと笑顔を作って、そう話し掛けた。
少し近付くと、やっぱりあの頃よりは少し背が伸びたと思った。
中学に入ったあたりから
一気に碧の背は高くなっていって、
あっという間に私を追い越した。
「予定が変更になって…いや、それより、なんで夏海がここにいんの…?」
碧は少し顔をしかめていた。
昔みたいに背伸びして、手を伸ばしてその柔らかい髪に触れたい。
だけど空白の時間と、それ以外の何かが確かに私達の邪魔をしていた。