碧色の君へ
"削除されました"
その文字を確認しないまま、ケータイをパコンと閉じた。
来ないメールを
鳴らない着信を
待つこともない。
私達の曖昧な関係は、あの日の夏にきちんと整理されたはずなのに。
幼なじみから、幼なじみへ。
何も変わることはないと思ってたのに。
…本当は初めから、だったのだろうか。
それとも途中から?
だとしたら、いつからだろう。
さっぱり分からない。
それでも少なくとも、今の私にとって碧は"優しいお兄ちゃん"ではない。
そんなものはいらない。
…麻美さんの場所が、どうしようもなく羨ましかった。
碧に触れたいし、触れられたいと思った。