【短編】失恋
「今起きたんだよ」
そう言って真一郎さんはバスローブのまま立ち上がった。
ミネラルウォーターを飲んでいる真一郎さんの左手の薬指を見ると指輪が光る。
「ごめんね…」
いろいろな意味をこめで私はそう呟いた。
真一郎さんは一瞬驚いたような顔をしたけれど,私のとなりに座って
「美玖ちゃんは気にしなくていいんだよ」
ってまるで本当の意味を知ってるみたいにほほ笑んだ。
そしてやさしいキス。。
キスはだんだん激しくなり,真一郎さんはまるで慣れた手つきで服を脱がしていく。
甘い声がこもる時間のなかで私はひたすら指輪を見ないように,泣かないように必死だった。