CANON
迷子の序章曲
やっと冬の寒さも消えていき、気温も、3年生が抜けていった学校にも、暖かさが戻ってきた。
戻ってきたとは言っても、やはり3年生の去っていった校舎はどこか寂しいもので俺達ももう3年生なのかと、しみじみ感じさせた。
桜の花びらがひらひらと、ゆっくり地面に落ちていく様子を見ながら、その花びらを助けるかのように、足をそっと差し出す。
花びらは靴を避けるように地面に落ちた。
それを見て意味もなく意地になり、後からひらひらと落ちてくる花びらをふぅーっと、息で更に上昇させた。
明日は入学式である。