夢の住人
夢の住人 八
スローライフを楽しむかのように、散歩気分での通学。
ラッキーストライクを口にくわえながら、のろのろと自転車は進んで行く。
街に出る迄に、ずっとなだらかな下り坂が8kmぐらい続く。
晴天の空、見渡す限りの緑、車もほとんど通らない。
風が気持ちよくボクの全身を包みこむ。
穏やか日和と穏やかな心。
今頃、彼女は授業中だろうか?
そんな事を考えながら、いつもの道とは違う方向に自転車を走らせた。
学校に行くには、上田橋を渡るルートと一つ手前の常盤橋を渡るルートの二種類がある。
ボクは常盤橋を渡るルートに進路を変えたのだが、その道はあまり通りたくない道でもあった。
その千曲川沿いの道は、全くと言っていいほど交通量がなく、日曜日に野球のリトルリーグでしか使わないと思われるグランドがあった。