手紙
「先輩…、ただいま」
笑って言ったあたしに訳がわからないといったようすで
あたしの髪をくしゃくしゃっと撫でた
「なんだよそれ」
笑ってそう言った先輩の顔が
なんだか安心しているように見えた
もう先輩にこんな顔させたくないな…
「そうやって髪くしゃくしゃにするの新井田くんと一緒ですね」
ふとそんなことも兄弟で似るのかなって思った
「…今はいーよ」
「へ?」
先輩の言った意味がわからなくて
先輩の顔を見上げると、
夕日のせいか先輩の顔が赤く見えた
「今は他の男の話いーよ」