手紙

しばらくして、その空気をやぶったのはあたしだった

頭は未だに真白なのに
言葉が自然とこぼれた

「……うそだ」

だって桐里先輩は
あたしのこと壊したくなるって
前の彼女を忘れられなくて眼鏡もかけてくれなくて…

「鈴木っ!」

「へ…?」

新井田くんの手があたしの頬をこする
涙が頬に広がり冷たくなっている

「きゃっ」

次の瞬間、あたしは新井田くんに抱きしめられていた

「…新井田くん?」

抱きしめられている力が予想以上に強くて、新井田君の心臓の音が微かに聞こえる

ドキン ドキン

ちょっとだけ早く大きく動いている
< 121 / 160 >

この作品をシェア

pagetop