手紙
気づいたら廊下を無我夢中で走ってた
足を止めたのは駅のホーム

教科書の何もないことに気づく

「…なにやってんだろ、あたし」

「…っ」

涙がどんどん流れて止まらなかった
胸が苦しくて苦しくて息が上手くできない

わかってたのに
ちゃんとわかってたのに

どんなときも先輩のなかには
あのひとがいること

隣で笑ってるのがあたしでも
先輩の目はあのひとしか映さないことも


わかってるつもりだった
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