手紙

麻衣と新井田くんがあたしを見る

「……はい」

やっと声が出て泣きそうになりながらも
そう答えた

あたしの返事を聞くと
桐里先輩はちょっとだけ安心したように笑った

「じゃ廊下でよっか」

あたしは小さく頷いて
桐里先輩の後について廊下に向かった


一瞬見えた木村先輩の顔が
あの時と一緒でもっと泣きそうになった

あの時の先輩の声が頭の奥から聞こえる

“焦ってたんだ 

悠里がまだ楓のことすきだったらどうしようって”


先輩…大丈夫だから
あたしちゃんと終わらせてくるから
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