男子校に紅一点!!-桜龍篇-【完結】
「じゃ、もう行け」
『お前は鬼かぁぁぁ!!』
女の子たちに背を向けて、大通りへ出ようとした皇に、女の子の一人が声を掛ける。
「あのっ、お名前お聞きしてもいいですか!?」
うわぁ、青春!
助けてもらって一目惚れ☆そしてそこから始まる、愛と希望に満ちた青春劇!!
「蓮条」
こらこら、下の名前はどうした。
それを聞いた女の子は、真っ赤に染まっていた顔を、突然真っ青にした。
「えっ・・・す、すみませんでしたっ!!」
「「まーみん、どうしたの?!」」
「待ってよ、置いてかないで!!」
絡まれガールズは、走ってどこかへ行ってしまった。
『・・・何事?』
「蓮条がそれだけ有名ってこと」
『えっ、そうなのか?!蓮条ってだけで、連条組だって気付いたのかあの子』
「お前は知らないかもだけど、あの組すんげぇでかくなってんぞ。
こないだも、組一個潰してたからな」
『何にも仕事してなさそうなあの親父が・・・?』
「そ。何にもしてなさそうなあの親父が」
『へぇ・・・人間見かけだけじゃぁ分からないもんだね』
「まぁな。お前も黙ってりゃ、美人でモテるのにな」
『知ってる』
「ほら、喋ったから台無し」
『大和撫子目指そうかしら』
「無理無理。お前が喋らないとか、マジありえねぇ。ってかキモチ悪くて、こっちから喋ってくれって頼んじゃう」
『親子揃って私を侮辱しやがって』
「気にすんな。お前はいじられキャラだ」
『嬉しくねぇ』
喧騒から、再び静まり返った路地裏。
二人の姿は、人でごった返す大通りへと消えて行った。