Don't leave
日曜日。


私はお母さんに子供達をお願いし、仕事に出掛けた。


仕事というのは、勿論、……風俗の方。

基本的に土日祝は出ないことにしてるけど、
お金がなくて正月を迎えられない、と、先月から嘆いていたお母さんを見てたら、少しでも早く現金をこの手に、と思わずにはいられなかったから。


来月からは平日シフトでこの仕事だけに絞る。


とりあえず、少し御節料理やら何やらを買うだけのお金は…今日だけで稼げるだろう。



お店に出るのは今日がまだ2回目。


慣れないし、覚悟はしていたものの…


他の男性に触られると虫酸が走りそうになる。


でも私が決めた事だから。



店では別の私になりきる。


演じきる。




師走の、鉛色の空。

日曜日だから、通行人も車もまだこの時間じゃまばらで。



時計を眺めながら歩いた。


ずっと離れない。

いつもここに彼がいる。


彼とメールしながら駅に向かう。


どうやら彼もメッセージを入れたらしく、これで本当にお揃いになったね、と言って。


寂しくなったらいつもブレスを触ってキスをする。
これからはブレスだけじゃなく、反対の腕には時計がある。

この時計に触れる度にメッセージを表示させる度に、彼を思い出す。


ずっと一緒だよって微笑む彼の顔を。





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