Don't leave
「まずはあそこに行きましょうか。本当なら買ってくはずだったけど間に合わなかったから…」


そう話す目的の場所は、私の仕事エリアの近くにある、美味しいと評判のケーキ屋。


「エンジェルに?本当に?いいんですか?」



前からエンジェルのケーキを食べたいと思っていた。

前にチラッとその話をした時に、
レフィさんがなんとエンジェルの近くに住んでるって話に驚いたっけ。



「いいんです。遠慮なしです。ここのは美味しいから、是非食べて欲しいし。」


顔がニヤけるのを止められない。


大体、美味しいと評判のケーキ屋なんて、値段もそれなりにするから、なかなか買おうにも買えない。


それを遠慮なしにだなんて!


嬉しすぎる!



…でも悪いなぁ…



嬉しいって気持ちと、悪いなぁって気持ちが入り混じって葛藤する。


でも、エンジェルに着いて、甘ーい香りに包まれた店内に入って、綺麗に陳列した美味しそうなケーキの山を見ると、私の思考は簡単にケーキ一色に染まるのだった。



「……っどれも…美味しそー……っ」


じゅる。


生唾を飲み込む音が自分の中に響く。


あぁ全部食べてしまいたい……!


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