Don't leave
数時間後、私はつかささんの車の中にいた。


ほんの30分だけ。



つかささんはこうして私の隣で微笑んでる。



「今度たっぷり時間がある時にマッサージしてあげるからね。…まだ痛い?」


「うん。…もう倒れると思うくらいキツかったし。」


「見に行きたかったなぁ、結子が走る姿。」


「あんな必死な形相見られたら死ぬわ。」



私が笑って言うと、つかささんも笑った。



そして、後部座席から綺麗な紙袋を取り出して、私に差し出してくる。



「これ。結子に。」



「はい?……わ、私に?」



「昨日が、1ヶ月記念でしょ。初めて逢った日から1ヶ月の。だからこれは、僕から結子への、プレゼント。」




プレゼント。


1ヶ月記念の?




…って、ちょっと!



「つかささん…」



まさかこんなに記念日とかの類を大切にする人なんて。


ってか、

付き合い出して1年とかの記念日なら分かるけど、

初めて逢った日からの1ヶ月の記念日に、

プレゼントだなんて!



「…ありがと…開けていい…?」




「どうぞ。きっと気に入ってくれると思う。」




中から出てきたのはリボンの掛かった、平たい小さな箱。

アクセサリーなんだとすぐに分かる。



緊張して少し手が震えて。



ドキドキしながらリボンを解き、箱を開けた。





< 51 / 229 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop