Don't leave
急に不機嫌になった私の様子に、最初はおどけてどうしたのと聞いてきた彼も、


いつまでも口を開かない私に、


様子見をするように黙ってしまっていた。




『今日は帰り際に結子の笑顔が見れなくて寂しかった。』



馬鹿な私は、そのメールでやっと、自分のワガママで彼を傷付けてしまった事に気が付いて。




彼の感触を残しておきたいから、彼に愛された体をすぐ洗い流したくはない。


そんな事言わなきゃ分からないのに、


あんなに突き放した言い方をして、

それを分からないつかささんが酷いみたいな言い方をして。




「…好きすぎて制御がきかない…」



日々強くなる彼への想いに、

自分がおかしくなりそうな気がしてたまらなかった。


何より怖いのは、

温度差。



必ず、あるはずの温度差。


恋愛は1人ではなく2人でするものだから。


少しの違いもなく全く同じ気持ちの2人なんていないから。


温度差があるのが当たり前。



だけど私は温度差が怖くて怖くて。


どんなに彼が想ってくれても、きっと私の方が好き。
こんなに逢いたくて苦しくて、心臓がこんなにもギュッとなって。




どうして、自分が好きなだけで満足出来ないんだろう。


どうして、同じように求めてしまうんだろう。



私が想う以上に想って欲しいと夢見てしまうの?



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