Don't leave
そして、私が、彼が祈り倒した必死さを神様は見てくれてたのだろう。


何事もなく約束の日は訪れる。





「…おはよ!」


カーキのカットソーにデニムのショーパン、ブーツ。ベージュのジャケットにピンクのストールを軽く巻いて、私はつかささんの車のドアを元気良く開けた。


「…おはよ。」


にっこり笑った彼。



喜びが胸中に広がる。



幸せ。

朝から夕方まで一緒に過ごせるなんて、夢みたい。


絶対こんな時間なんて取れないと思っていた。

けれど、今、こうして計画を実行に移している。


望むばかりじゃ、何にもならない。


強く強く望んで、描いて、その為に出来る事を精一杯やったから。


それを教えてくれたのは彼。


『絶対やるよ。行くと言ったら行くの。必ず行けるから。』


いつだったか彼がそう力強く言ったから、

だから、

可能性を信じて私は行動した。



大袈裟?


大袈裟でも馬鹿馬鹿しくても構わない。


きっと私達は普通の恋人達より、有り難みを知ってる。


一緒に過ごす時間がどんな時間であっても、

その重みを。

どんなに幸せかを。


一緒の光景を見て、何気ない会話をして、一緒の空間で同じ事を感じれる幸せを。


私は痛い程知ってる。




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