Don't leave
こちらへ戻ってきて、私達はいつものホテルに向入る。



時間の余裕があるのって、いいな。


ゆったりと落ち着いていられる。



落ち着いていた筈なんだけど。



やっぱり隣に彼がいるだけで私のドキドキはレベルMAXまで上昇するし、触れたくて仕方ない。



いつも彼の髪やら額やら頬やらを触っている私、今日は…殊更彼の頬を撫で撫でしている気がする。


なんでか分からないけど。


触れたくて仕方ないんだからしょうがない。



「結子……」



彼の唇も、舌も、声も、瞳も、腕も指も。



愛おしい。




私達はいつも以上に、時間をかけて体を重ねた。


毎回毎回、本当はもっとずっと体を重ねていたいのに泣く泣く離れている鬱憤を晴らすかの如く。



好き。

すき。



大好き……




どんどん溢れる思いは際限が無くて、底が見えない。



これ以上好きになると自分が辛いからと思っても、感情が深まるのを止める事が出来ない。



「愛してる………」




つい最近、そう言うようになった私達。



でもね。


愛してるでも足りないんだよ。



愛してると言っても言っても言い足りなくて。

愛してるという言葉は重い言葉のはずなのに、



それでも私の気持ちの何割かしか伝えてくれない、と歯痒く感じる。



好きとか
大好きとか
愛してるとか


そんな言葉で言い表せる領域をとっくに超えてる気がして。



この心を見せれたらいいのに。


この胸を切り裂いてそこに心が存在し目に見えるのならば、


見せてあげれるのに。




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