美人カフェ“BLUE BIRD”
たった数時間だったのに。

『BLUE BIRD』に入った途端、もの凄く懐かしい感じがした。


ここに来たのは、そういえば倉田先輩に綺麗って思ってもらいたいからだった。


でもそれは、表面的な理由だったのかもしれない。


ずっと自分が嫌いだった。日記を書かなくていい、判子の日々。定型化した流れで、私がいなくても困らないと確信できる世界で、たいした喜びも哀しみもなく生きていて。


「いつも、机の上が綺麗に片付いているね。見習わなきゃ。」



入社して3ヶ月目の、倉田先輩の言葉から始まった恋。


本当の本当は、そんなツマンナイ日常に刺激を求めていてでも意気地無しな私が、選びとったスパイスなのかもしれなかった。
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