FAKE LIFE

｢ハルキのところはどうなんだよ？｣

トオルは写真を大切そうに手帳を戻した。
あまり、聞いて欲しくない質問だった。

｢どうって…何が？｣

｢子供だよ、子供。マキちゃんは若いしまだまだ大丈夫って思ってるのかもしれないけど、子供は若いうちに作ったほうがいーぞ｣

経験談なのか、はたまた仲間が欲しいのか、トオルはハルキとマキが結婚した当初から、早く子供を作るようにけしかける。
オレだって欲しくないわけじゃないさ…。
ハルキは自分の中で苦い気持ちを押し潰した。

｢マキも仕事が楽しい時期だし、まぁそのうちに｣

ハルキはタバコに火をつけ、わざとゆっくりとくゆらせた。