FAKE LIFE
トオルが酔い醒ましに少し歩こうというので、二駅先まで二人で歩いた。

初夏独特の水を含んだ夜の空気は心地良く、トオルと馬鹿ばかりしていた学生時代を思い出した。
仲間うちのマドンナだったサエコと結婚したトオルのことを、あの頃のオレはのたうちまわるくらい羨ましかった。

今はTシャツとジーンズの代わりに、スーツを着てトオルと歩いてる。

あの頃に戻りたいわけではないけれど、あの頃とは遠い場所にいるのだと、感じた。
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