FAKE LIFE

｢私、明日は出張で早いんだ｣

マキは自分のベッドに潜り込みながら言う。
枕元のスタンドを付けて、雑誌を広げる。
新婚旅行で行ったロスで買ったマキのお気に入りのスタンドは、淡い光で彼女の整った顔を美しく縁取っている。

しかし、彼女の頬には以前のような丸みがなくなっていた。
ハルキは妻が痩せて、いや、やつれていくのが気になっていた。
ハルキはマキに聞こえないようにそっとため息をつく。
なるべく優しい声を出すように気を付ける。

｢マキ、明日はどこに行くんだ？早いなら寝ないとダメだろ｣

｢うん。これ明日の仕事の資料だから、このページだけ読んだら寝るよ｣

マキは雑誌を見つめ、俯いたまま答えた。