FAKE LIFE
進路指導室には、たくさんの大学の赤本が並んでいる。
進路情報誌も豊富だ。
世の中は情報に溢れている。

ハルキは、今日進路指導を行う子どもたちの書類にざっと目を通す。
SSクラスの子どもたちに、大きな問題を抱えているようなコは見られない。

コンコンッとノックの音が響き、時間通りに生徒が入ってきた。
失礼しま~す、とあくまでも軽いノリだ。
ハルキは身振りで机を挟んだ向かいの席に着かせる。

「川上、リュウタ。志望校は、と…」

ハルキは事前にとった進路希望調査表を確認する。
そこには、有名私立大の名前。
しかし、リュウタの今の学力とその伸びから考えれば、決して無理のある大学ではない。
この夏の努力次第だろう。

リュウタの夏期講習の希望コースにも、問題はなかった。
リュウタがこのコースの勉強についていけないということはないだろう。
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