FAKE LIFE
「先生、先生っ。ちょっと聞いてもいいっすか~」

リュウタは座っていたイスをギッコンバッタン大きく前後に揺らして、落ち着きがない。
リュウタはいつもこの調子だ。
授業を真面目に聞いていないわけではないのだが、熱心に聞いているようにも見えない。
それでいて、成績が落ちることはない。

「ないしょ、で。ないしょでこーっそりとさっ。斉藤の進路、教えてもらえませんか?」

リュウタは、細面の可愛らしい顔でウィンクして、小さくお願いのポーズを作った。
ハルキはリョウタがバレンタインに女の子からチョコレートをもらっていたところを見かけたことを思い出した。
リュウタはクラスのムードメーカー的存在で、男女ともに友人は多そうだ。
この顔と、この性格で、相応にモテているのだろう。

そのリュウタが、斉藤キョウコを好きだったのか。
ハルキはなんだか意外な気がした。
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