Love and you
入口付近に座る山本さんが、後から入ってきた人をどうぞどうぞと奥へ促す。
ちょうど目の前に彼が座る。
気付かれないようにアイコンタクトを取り、仕切り直そうとしている山本さんへ視線を移した。
宴会も盛り上がり、そろそろ終わる時間が近づいてきた。
「さて、みなさーん、まだまだ終電まで時間はありますよー」
山本さんが二次会の提案を皆に提案し始めた。
昨日の体調不良もあったし、今日は一次会だけでと提示された料金を財布から取り出し、山本さんへ手渡した時だった。
「えーーーー!!亜紀さん帰っちゃうんですか〜!!!」
顔を真っ赤にした渡辺健人が口をぷうと突き出していじける仕草を見せる。
その仕草はその場にいた男性もが、かわいいと思えてしまう表情だった。
「お、おい!お前いつから三上さんをああ、亜紀さんだなんて」
しどろもどろになりながら、渡辺健人の隣にいた荒木くんが突っ込む。
「体調的に、ごめんね」
奈々子は二次会にも参加する気満々で、私に手を振った。