Love and you


「それじゃあ・・」

と皆を背にした時、


「じゃあ!!俺、亜紀さん送ってきます!!!」

がばっと立ち上がり、ずんずんと私の手を引いてその場を後にした。


「ちょ、ちょっと」

私の声など耳に入っていないかのようで、お店から出る。


「ねえ、ちょっと!どこまで送るのよ。二次会は?」


「亜紀さんがいないんじゃつまらないし。今日だって全然話せてないし」


そんなことを口論している間に、駅に着いた。


「ありがとう、ここまででいいわ」


「いや、亜紀さんがおうちに入るとこまで見送らないと、心配で夜も眠れません」


その言葉に呆れて、口がしまらない。

この酔っ払いを説得するより、そのままさっさとついてこさせて帰った方が早いだろうと判断した。



電車の中で、渡辺健人は自分の学生時代からこの会社に入るまでの思い出を話し出した。

最初は興味がなかったけど、あまりにも楽しそうに話すもんだからいつの間にかその話に笑い、呑み込まれていった。


< 40 / 44 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop