Love and you
彼・・藤森課長のデスクまで向かうと、彼から書類を渡された。
「渡辺くんの研修、君に頼むよ」
会議室の一番取っておいたから、と会議室のカギも手渡された。
はい、と頷きながら渡辺くんに視線を向ける。
「あ、よろしくお願いします」
整ってる顔・・少し見とれてしまった。
「じゃ、こちらに」
会議室のドアを開けると、こもったにおいがあたしを包む。
すぐに窓を開けて、換気した。
くるりと渡辺くんが居る方を振り返ると、あたしに笑顔を向ける。
「もうすぐ夏っすね、湿っぽいな」
さっきの緊張が取れたのか、渡辺くんは一回大げさに深呼吸をし
「今日はご教授よろしくお願いします」といきおいよく礼をした。
それに少しびっくりして、一瞬戸惑ったあとに笑いが込み上げてきた。
「もっとリラックスして、さ、始めようか」
少し照れたように渡辺君も笑って、席についた。