Love and you
「ありがとうございます」
じゃ、と課長はまた会社の方へ体の方向を向けた。
「・・課長、また仕事ですか?」
振り返った課長は少しはにかんで「要領が悪くてね」と自嘲気味に言った。
「手伝います」
「いや悪いよ、そういうつもりじゃなかったんだ」
「いえ・・ただ純粋に手伝おうと思ってるだけです」
何度か同じことを繰り返してから、課長は折れて「頼むよ」と笑った。
やっと帰れる、そう思って会社を出たはずなのに。
咄嗟にでた言葉はそれとは逆の言葉だった。
確かに課長には、密かに憧れていたものがあった。
容姿端麗、仕事ができてみんなの頼りになる課長。