魚住の生き方
兄は年もおしせまった三十一日の夜に帰省し、たいして顔も合わせずに自分の部屋へ行き、お正月になっても出てこない。考えてみたら、それほど仲のいい兄弟ではなかった。兄は家の中では特別で、私達三人家族と兄、と言った構図だったのかもしれない。そして兄は期待に応え、順風な人生を歩んでいた。
< 69 / 110 >

この作品をシェア

pagetop