魚住の生き方
「このアパートはさ、作りが雑というか、簡単でさ、上下の音が筒抜けなんだよね。だから、聞こえてるよ。きっと」と、魚住は何でも無いことのように言った。私の顔は真っ赤になった。「居たの?」私の声は大きくなった。「居ないよ」魚住は小声で、私の耳元に手をかざしながら言った。この男は、私の心をもてあそんで、楽しいらしい。でも、憎めない。かわいい魚住。
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