そのオトコ、要注意。
教室を出た瞬間に色めき立つ女達。
その甲高い声に思わず耳を塞いでしまいたくなる。
正直、今構ってやれるほどの余裕も時間もない。
(どこだ、あいつは。まだ、そう遠くには…)
もうすぐ本鈴が鳴るというのに、まだ多くの者が廊下に残っている中、視線をさ迷わせていると、前方突き当たりを曲がろうとしている男が見えた。
――いた。
後ろ姿しか確認できなかったが、俺にはそれだけで十分だった。
男はちょうど角を右に曲がって行った。
見失うわけにもいかず、俺は後を追った。
しばらく様子を見て、どこで姿を現すか、タイミングを図っていたら。
二つ先の角を曲がった直後だった。
――グイッ
!?
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