そのオトコ、要注意。
chapter4

過去の調べ



さすがにここまで追って来る者もいない。

「お前…、足は?」

「平気」

あたしはただずんずんと歩いていく。

使われていない空き教室まで来て、漸く掴んだ腕を離した。


「…で?何だよ」

大きく息をつきながら深いブルーの瞳を静かに閉じた。

対するあたしは、呆れられたような仕草にちょっと胸がツキンと痛んだ。


(……痛む?)


「何もないなら、返るぞ」

踵を返し扉に向かう後ろ姿に慌てて上着の裾を掴んだ。


「だって…、………。こうすることしか思いつかなかった…」


今さらながらちょっと強引過ぎたかも、と猪突猛進気味だったさっきまでの自分に落ち込む。

だけど。

あたしが知りたいのは真実。

ここは譲れない。

腹を括ったあたしは、不安を振り払うようにバッと顔を上げた。


「ねぇ!」

「?」

「なんで……、」


あたしがそのあとの言葉を紡ごうとしたのと同時。


ガラッ、


扉が開いた――――


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