そのオトコ、要注意。
こんな気持ち、知らなかった。
好きだから、不安になる。
好きだから、一緒にいたい。
好きだから、この腕が愛しい。
好きだから、…もっと知りたい。
一度気づいてしまえばこんなにも想いは溢れるのに、どうしてこれまで放置できたのかと、自分自身に呆れる。
すると、前触れもなく有栖川ルイがおとがいに手を添え、あたしの顔を自分に向けさせる。
突然かち合った視線に動揺し、慌てて俯こうとするがあごに添えられた手がそれを許さない。
見上げた表情からは何も読み取れない。
そんな顔も様になるから美形とは得だなんて、どうでもいいことが頭の片隅を過ぎった。
相変わらずの真顔と言っていいほどの目の前の彼だが、真っ向から注がれる視線は藤代祥弥に向けたそれよりも幾分にも優しく見えるのは気のせいだろうか。
近づいてくる顔に、あたしは無意識に瞳を閉じた―――
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