そのオトコ、要注意。
―――遊び。
そう、遊びでされた。
だって大したことないみたいに、話をするかのように簡単にやってのけた。
今も、単にからかわれた色が強かった。
…有栖川ルイに遊ばれていただけ。
その言葉を導き出したとき、頭を鈍器で殴られたような気がした。
一人舞い上がっていた。
現実は、違う。
有栖川ルイの中で、あたしは遊びの域を超えない。
(ほんと、独りよがり……っ)
己の愚かさと一方通行な気持ち故のもの寂しさにチクリと心が痛みながらも、明日の本番はクラスのためにも、あんなに真剣だったあいつのためにも、頑張ろうと強く誓った。
教室に向かう最中、あれだけ白雪姫の大胆たる行動に抗議していたのに、自らも勝るとも劣らないことに気づいて、また悶絶してしまった。
道行く人に不審そうな目をされて、そそくさと退散したけど。
(……今は、役に集中しよう)
そうなのだ。
何たってあたしは、明日の勝敗すらも決める主役の一人なんだから。
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