そのオトコ、要注意。
幕間の痴話喧嘩
やってきてしまった学園祭当日。
見渡す限り、人、人、人の波。
生徒の父兄やら友達やら、天気が快晴なことも手伝って、人の入りは盛況だ。
午前の部の舞台もたくさんの人が見てくれた。
(それはそれは、大変結構なことだけども…)
私、笹原美羽。
ただ今、迷子ちっくです……。
迷子というより迷い人…?
まぁ、そのへんは適当に。
それよりも。
ついさっきまで、環奈といろいろ食べ歩いてたはず……なのに。
「あっ!あれ、美味しそう!アイスにいろんなトッピングだって!ねぇ、環奈、行ってみ……?」
振り返り様にそう問い掛けたら、環奈はそこにいなかった。
慌てて黒いドレスの継母の姿を探すけれど、なにせ人で溢れかえったここで、それは容易ではなかった。
携帯にかけてもみたけど、周りに同じような人が他にもたくさんいるのか、電波が悪いのか、役に立たなかった。
(どうしよう、困った)
目の前にはアイスクリームの誘惑。
…うむ。
人間、腹ごしらえなしには戦は出来ず。
とりあえずアイスでも食べながら考えよー、なんて、足速に売り場まで行くと、売り子のお兄ちゃんにポカンとした顔をされる。
何故。
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